最後はスーツケース1つ分の荷物:両親の最晩年
脳梗塞で寝たきりになった母。
介護付き有料老人ホームへの入所が決まりました。
主に胃瘻などの医療処置が必要な方を対象とした施設で、全室個室。
部屋の広さは、約6畳。ビジネスホテルのシングルルーム程度です。
ベッドの他は、小さな作り付けの整理棚と引き出しがあるだけで、家具らしきものを置くスペースはありません。
現在、入院している回復期リハビリ病院からの転院となる母親。
有料老人ホームには、現在病院で使っているパジャマや下着、普段着、洗面用具などの最小の日常生活用品以外のもは持ち込めないようです。
父親も母親と同じ有料老人ホームに入所を検討
父親は、病院から自分が暮らしているサービス付き高齢者住宅に帰ってくることを待ちわびていました。
しかし、母親の病状や父親自身の健康状態からそれは困難となりました。
父親も車椅子生活となり、認知能力も衰えて介護を必要とする状態。
そこで、父親が母親と同じ老人ホームに入所する話しが急浮上しています。
ラッキーなことに、母親が入所する施設は、今月開所したばかりで、まだ空きがあるとのこと。
「母さんの側にいたい」という父には、またとないチャンス到来。
父親もとても乗り気になっています。
気がかりは部屋の狭さ
現在父親の暮らすサービス付き高齢者住宅は、夫婦部屋の1LDK。
10畳あまりの寝室の他に小さなキッチンと8畳のリビングがついていて、老夫婦が暮らすには十分な広さでした。
バルコニーもあり、日当たり、風通しも良好。
収納スペースもあり、もちろん家具の持ち込みもOK。
しかし、母親の入所する有料老人ホームは、夫婦部屋はすでに満床。
父親は、母親とは別の部屋に入ることになります。
個室にはキッチンはなく、病室のような雰囲気。バルコニーもありません。
現在の高齢者住宅から、6畳と限られたスペースで家具も置けない息が詰まるような個室に、父親が入居して適応できるだろうか。
それが気がかりです。
最後は、スーツケース1つ分だけの荷物に
ただ、今回は、母親の施設への入所を見送ったとしても、父親の介護度や家賃などの経済的な問題から、現在の夫婦部屋を引き払っていずれ父親も介護型の老人ホームに移る時がやってくる可能性は大です。
そうなった時に、父親もまた、日常生活に必要なものだけを持っての入所になるでしょう。
そうなれば、両親ともに、最後は、スーツケース1つ分だけの荷物ということになりそうです。
老いとともに、荷物を手放してきた両親
先月、約50年間住処としていた家を手放しました。
家は解体され、更地に。
その際、家具も衣服も、思い出の品もゴミとなり、何トンもの廃棄物となりました。
手元に残ったのは、小さな仏壇と父親が大切にしていた古書数冊。
そして、また今回、父親が母親の施設に入所することになれば、現在の高齢者住宅にある荷物も、断捨離する必要がありそうです。
父親の古いスーツも、母親のジャケットも、ワイングラスも、そして毎日使っていたお揃いのコーヒーカップも、もう必要ではなくなります。
仏壇と数枚の写真、その日生きるために必要な最小限のモノ、そしてそれでも手元に置いておきたいささやかな何か。
それが、両親の全財産。そんな日も近づいているような気がします。
最後は、一抱えの荷物になる・・。
今、大切にしているものも、いつかは手放すときが来る。
そう思うと、これ以上、モノを増やすことには慎重でありたいし、モノとの付き合い方を、真剣に考えなければならないなぁとつくづく。
両親の老いは、これから自分が辿る道を示してくれているのだと痛感する日々です。
目を通していただきありがとうございました。
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