短期記憶障害が急速に進む父親の衣類の整理
先日、父親の要介護認定の調査がありました。
これまで、「要支援」と認定されていましたが、今回は、「要介護」への進級?をかけた面接調査です。
そのなかで、「鍵」、「ボールペン」、「ハサミ」の3つを目の前に並べ、いったんそれを引きあげた後、「何がありましたか?」と尋ねる項目があったそうです。
電話をかけてきた父は、「いや~、まいったよ。全然思いだせなくて。もうポンコツだ」と笑っていましたが、内心、ひどく落胆していることが伝わってきました。
衣類で散らかった室内
父親は、サービス付き高齢者住宅に現在ひとりで暮らしています。
共に入居していた母親が、3か月前に入院し、独居を余儀なくされました。
それ以来、急速に認知症の症状が進んでいます。
比較的近くに住む姉と、公共交通機関を乗り継いで片道5時間ほどかかる遠方に住んいる私が、父を支える主な家族です。
月に何度か父の元を訪れてきましたが、毎回正直驚くのは、室内の散らかり方です。
特に、下着やパジャマ、セーター、上着、ズボンなどの衣類が、今は空いている隣の母親のベッドの上に乱雑に広がったまま。
洗濯後、ハンガーに吊るしたままの衣類が、まるでカーテンのように窓際に吊るされています。
見るにみかねたヘルパーさんが、片付けを提案しても、父親は、頑なに拒んでいます。
目に見えているものだけがすべての世界に
今回の介護認定調査で、父親の短期記憶障害がこれほどまでに進んでいるのことを再認識しました。
目の前にあった品物をすぐに忘れてしまうのですから、父親にとっての世界は、目に見えているものだけと考えた方が良さそうです。
衣類は、できればタンスにしまいたい。できれば畳んで、気持ちよく身に着けてもらいたい。
でもそれは、父親にとっては、迷惑なこと。片付けられてしまったら、何がどこにあるのかがわからない。
デイサービスに行くたびに、「シャツがない」「ズボンがない」と混乱して、余分なエネルギーを消耗するのでしょう。
とはいっても、何か妙案はないかと考える
徐々に汚部屋と化していく現状に、「そうはいっても少しぐらいは片付けたい」という気持ちが動きます。
でも、これはほんの序の口。
老いた父親が今の暮らしを続けていくためには、きっと、これから山のような懸案事項が続出。
認知症、遠距離介護は、今、始まったばかりです。