アルマーニ制服問題と田舎のマダムたち
昨日は、近くの温泉へ。
温泉もさることながら、併設されたサウナで汗をかくのがお気に入りです。
昨日は、先客の顔見知りのおばちゃんたちとたわいもないおしゃべり。
サウナで過ごす静かな時間はなかなかオツなものですが、先客さまがいらっしゃるとそうもいかず。
裸の付き合いの気軽さからか、常連のおばちゃんたちの爆弾トークはかなりのもの。
話題は政局から各種時事問題に至るまで。
鋭いつっこみが冴えわたり、密かにそんなおばちゃんたちのトークを楽しみにしています。
さてさて、昨日は、ちょうどTVのワイドショーでは、かのアルマーニ制服問題でわいた件の小学校の話題が流れていました。
その時、一人のおばちゃんが、
「なんで1年生に、アルマーニの制服が必要なんよ。子どもは泥んこになって遊ぶのが仕事やのに、そんな高級な服なんか着て、遊ばれへんやん!」と。
「ほんまそうやわ!そんなん着てたら、金持ちの家の子やって思われて、誘拐されるでー。危ないやんか。なぁ」
「だって、制服代に55万円払えるってことは、金持ちってことやろ。55万いうたら、うちのおばあさんの国民年金と同じやで。年金だけで頑張ってる人もいてるのに、もう考えられへんわ」と、ここで年金に話題は大飛躍。
さらに、
「そうよ、55万円出したら、中古の軽トラ買えるやん。〇〇自動車屋さんにいうたら、すぐに探して持ってきてくれるで」と、なぜか、中古の軽トラへと発展。
「それに、子どもはすぐに大きくなるやん。次から次へと買い替えなならんのに、何考えてるんやろ」
「世の中には、ご飯が腹いっぱい食べられん子供もぎょうさんいてるのに、それ思ったら、ほんま腹立ってくるわ!」と狭いサウナ室は中高年女性の非難ごうごう。
その時、TV画面に校長先生が。
「この校長先生が一人で決めはったんやってなぁ。たとえ保護者から、アルマーニの制服を作りたいって要望があったとしても、いやいやそれはできん。子どもの家庭の事情はそれぞれだから、買えない子どもがかわいそうやって阻止するのが教育者というもんちゃうん?きょうび、教育もホンマ、地に落ちたもんやわ」と滴る汗を拭いもせずに、おばちゃん怒り心頭。
「いや・・。それは思うで。アルマーニの制服着せるやなんて、自己満足やんか。見栄やな」
「そんなん、保護者の人も困ってはると思うで。うちは、そうなん、買うてやれんもん」
おばちゃんたちは、一同、力強く、同意の頷きのサイン。
その時です。
「えっ!ちょっと待って。入学予定者の全員が制服買うたって言ってるでぇ」と一人のおばちゃんが。
「ええっ!みんな買うたん??」とTV画面に釘づけ。
よくよくTVを見ると、入学予定の1年生。数名の入学辞退者以外は全員が標準服をすでに購入したと報じていたのです。
「ほぉ・・・。入学予定の子の全員が・・。」
しばし絶句するおばちゃんたち。
しばらくして、ふと我に返ったおばちゃんたちは、
「東京の銀座の子は、泥んこになって遊んだりせえへんのやな」
「そうやな。みんな外車で送り迎えやから、誘拐の心配もないのかも知れへんなぁ」
「中古の軽トラもいらんし、国民年金なんて知らんしな、あはは・・」
「そりゃそうや、ウチらの基準で物事考えたらアカンちゅうこっちゃなぁ」
あれだけ盛り上がっていたのに、こころなしか声のトーンもしめりがち。
「何やアホらしなってきたわ。さっ!そろそろ汗流して来るわな」
そう言って、一人、また一人で去っていきました。
私も含め、どうも、アルマーニの制服問題。
田舎のマダムには到底理解不能な難問のようです。
目を通していただきありがとうございました。
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