子どもの人生を台無しにして生きる最晩年は幸せか?
昨日Jennyさんがご紹介くださったNHKスペシャル「ミッシングワーカー」。
さっそく視聴しました。
40~50大歳代の独身の働き盛りの方が、親の介護のために離職した後、復職できずに経済的な困窮に陥るケースが急増しているとのこと。
求職活動もしていないために「失業者」のなかに入らないこうしたミッシングワーカーは、全国に103万人いらっしゃるそうです。
番組では、親の介護によって仕事を辞めた数人の方が登場。
親の年金によって当初は何とか生活が成り立っても、親の死後は年金も断たれ、生活はじり貧に。
すぐに仕事に就こうにも、数年のブランクですっかり自信を失ってしまったり、介護によって体調を崩したり。
あれこれ思ううちに、どんどんと月日が流れ、自分ではどうすることもできない状態に陥ってしまう切実な状況がそこにはありました。
本当にねぇ・・。番組の取材に応じてくださった方々の追い詰められた状況に、胸が痛くなりました。
ある方は、貯金残高は1万円とか。
またある方は、介護生活以来30キロも痩せてしまって、自分は「透明人間」。自殺する勇気もないとおっしゃる。
全く先の見えない暗闇のなかでもがいている状態、人生に光が見えないと言う方も。
仕事に就いていないということは、経済的な基盤を失うだけではなく、社会的なつながりや居場所を失うことでもありますね。
「貧困」と「孤独」の苦しみが、切々と身に迫ってきました。
いったい、どうしたらいいのか・・。
子どもの立場、親の立場、いろいろ思うことはありますが、「弱った親の世話をするのは子供の務め」、「親を大事にする孝行息子、孝行娘」といった社会的な規範を考え直さなければならないときに来ているように思います。
たとえば、ご近所の一人暮らしの高齢者が、どうも認知症らしき症状。
だんだんとごみ屋敷化していくにつれ、「息子さんはどうしてるの?」「娘さんは何をしてるの?」「子供たちはこの状況を知ってるの?」と周囲からの声が上がります。
「親がこんな状態だというのに、いったい子どもは何をしてるのか?」「子供だったら、親のサポートをするのが当たり前でしょう」という無言のプレッシャー、あるいは、言外の非難が子供に浴びせられます。
こうしたもろもろの見えない力も加わって、「親を放ってはおけない」と介護離職に踏み切る。
もちろん介護離職に至る要因は、もっともっと複雑だとは思いますが、「ご近所の手前」というのも、そのひとつではないでしょうか。
子ども世代は、自分が生きていくのに精いっぱい。
親も、自分の世話で子供の人生をメチャクチャにすることなんて誰も望んでいない。
「年老いた親を世話する孝行息子・娘」なんていう規範が通用する世の中ではなくなった。
親も子も、最後まで、自分の力で何とか生きることを精一杯頑張る。
まずは、そんなことがごくごく当たり前の認識になること、そして、親世代も、「子どもに世話される老後」という選択肢を外し、どうしたら自分の力で生きていくことが可能かを、あらゆるケースを想定して真剣に考えることが必要なように思います。
子どもの人生を台無ししてまで生き続ける最晩年は、果たして親にとっても幸せなのだろうかとまたしても考えさせられた番組でした。
目を通していただきありがとうございました。
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