還暦からの再起動

リタイア後に田舎暮らしを始めた還暦女子。それなりの「人生の旬」を綴ります。

介護者を傷つける「トゲのある言葉」

それは、つい先日、母親が、胃瘻をつけることを決断した直後のことでした。

年老いて認知症もあり、冷静な判断が下せない父親

結局、姉と私で決断し、父親の了解を得るというかたちで話しは進んでいきました。

「胃瘻をつけるとね・・」

「もし、つけなければこうなるんだよ」

何度同じことを説明したことでしょう。

その時には、「そうか、わかった」と言う父親ですが、数時間たつと、

「本当に胃瘻をつけていいのかい?つけると・・・だろ?」とまた最初に振りだしです。

何度も電話をかけてくる父親。姉も、父親からの電話に疲弊していました。

 

不安を抱えていられない父親

母親が入院した後は、一人で暮らす父親

高齢者住宅でひとりポツンと過ごす父親は、不安が頭を過ると、それを抱えていることができません。

まずは姉に電話をします。

姉が仕事中であれば、「ただいま電話に出ることができません」と流れる自動音声。

それでも諦めずに、数分後に何度でもかけます。そしてその度に繰り返される自動音声。

その後、私にかかってきます。私にかかってくるときには、だいたいいつも不安も頂点に達した頃です。

 

「あいつは、また仕事なんだな。どんな(立派な)仕事をしとるか知らんが・・」

父親は、姉が、たとえ仕事中であろうと、電話に出ないのが不満でなりません。

いつも、すぐに電話に出て欲しい。そして、不安を和らげるような優しい一言をかけて欲しい。それが父親の本音です。

しかし、もちろんそうはいかないのが現実。

姉に電話を何度かけても出ないと話した父親は、その後、不機嫌そうな声で、

「あいつは、また仕事なんだな。どんな仕事をしとるか知らんが、仕事、仕事って、頼りにならんヤツだ、まったく!」と吐き捨てるように言いました。

そこには、自分よりも仕事を優先していることへの腹立たしさ、

親のことよりも優先すべき立派な仕事などあるのかという怒り、

そして、どうせ大した仕事でもないのにという皮肉の意味が込められているように感じました。

 

もし姉が知ったとしたら

もちろん、父親のこの言葉は姉には伝えていません。

もし姉が知ったとしたら、この言葉のトゲは、深く姉を傷つけるように感じたからです。

姉なりに両親に全力で尽くしてきた日々。

それなのに、「まだ足りないの?まだ、何かをしろって言うの?」

「私には私の人生があるのよ、お父さんのことだけで世界が回っているんじゃないのよ」

「そうやって、私を支配しないで!」

「私の仕事に、あれこれ言う権利なんて、お父さんにはないのよ!」

そんな怒りが爆発するか、あるいは、

「ああ、どれほどやっても、お父さんにはわかってもらえないんだな」という悲しみや切なさで、ひどく気分が落ち込むか、

どちらにしても、姉を傷つけ、「自分が何とかせねば」と走り続ける姉の足が、この言葉のトゲによって掬い取られてしまうように感じたからです。

そして、この種の言葉は、ボディブローのようにその痛みが長く残って、じわじわと効いてくる、そんなことも感じていました。

 

 

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