還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

「お父さんはお母さんを愛しすぎます。それがリスクです」と言われた一件

3月1日に回復期リハビリ病院へ転院した脳梗塞の母。

リハビリ病院に入院できるのは150日が限度。

そろそろ次の療養場所を考えなければならず、先日、病院で主治医、ケースワーカーを交えた面談がありました。

 

「苺と共に登場」の父

その面談の場で初めて知ったことです。

転倒し、現在、車椅子生活の父ですが、それでも週1度は母の元にタクシーで面会に行っています。

ある時、父がタクシーの運転手さんに車椅子を押してもらい、神妙な顔つきで母の病室へ。

膝には、むき出しの苺のパックがひとつ。

母には、嚥下障害があり、胃瘻がついています。

1日に1度だけ、言語療法士の方が注意深く食事介助をしてくださっていますが、それでもむせやすく、誤嚥のリスクは大。

父が、母親に苺を食べさせるつもりだとふんだ看護師さんが父に厳重注意。

「病院は、食べ物の持ち込み禁止なんです。特にお母さんは、まだ上手に飲みこめないので、苺を食べさせて肺に入ったら命取りになりますよ。苺はすっぱいし、ツブツブもあるし、そんなのが肺に入ったら、ホント、大変!」

というわけで、苺パックは、袋に入れてもらってそのままお持ち帰りになったそうです。

 

次はバナナ2本

それから1週間後、車いすで登場した父の膝には、これまたむき出しのバナナが2本。

それも、熟れすぎて少々黒くなり、しなびたシロモノ。

「病室で、お母さんと1本づつ食べようと思ったんですかね。『食べ物は禁止なんです』って言ったら、このバナナは酸っぱくないし、ツブツブもないから、いいかと思ったって。」と看護師さん。

苺の件も、バナナの件も、全く知らなかった姉と私。

いじらしいと言えばいじらしいけど、いったい父親は、どこまで母の病状を理解しているのかと謎は深まるばかり。

「すみません。いろいろご迷惑をおかけして」と言いつつ、アタマのなかに?マークが多数点灯する私たちでした。

 

お父さんはお母さんを愛しすぎます。それが危ない

肝心な母親の今後の療養場所。

選択肢は2つ。

特養は、すぐには空きはないため、胃瘻に対応可能な有料老人ホームに入所するか、父親の待つサービス付き高齢者住宅に戻るか。

その時、ケースワーカーさんが、

「お父さんはお母さんを愛しすぎます。それがお父さんの元に戻る時のリスクになります。少しくらいならとお母さんに何かものを食べさせて、事故が起こるんじゃないかと心配」そう発言しました。

 

「お父さんがお母さんを愛しすぎる??」

「えっと、今、何っておっしゃいました?」と聞き返したいくらいのちょっとした衝撃。

「いえいえ、つい倒れる前まで、母を怒鳴りつける暴君でしたよ」と言いたいけれど、それを言ったところでどーなるものでもなく・・。

父ばかりではなく、父の面会を待ちわび、来れば手を握って離さない母親。そんな二人を見れば、長年相思相愛、理想のカップルに見えるのでしょう。

本当に、夫婦というものは、奥が深すぎる!

 

まぁ、それはさておき、摂食機能の回復が思わしくない母親。

誤嚥性肺炎と脱水が、母の2大リスクです。

それを回避できる療養場所は、どうやら父の元ではなく有料老人ホームになりそうな気配。

愛情が深すぎる父は、しばし待ちぼうけ。

ただ父のことですから、這ってでも母親の面会に行くことでしょう。

それにしても、あの二人は、どうなってるの?とアタマをひねる私たちです。

 

 

 

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