人それぞれの価値、ヨレヨレこそが上質だという夫
人にはそれぞれ、「お気に入り」の品々がありますね。
着るものだったり、食べるものだったり。
その人が、何を好み、何を遠ざけるのかによって、その人らしさがわかってくるような気がします。
ヨレヨレの服を好む夫
夫は、身に着けるものに、彼なりのこだわりがあります。
例えばパジャマ。
7~8年、毎日着て、毎日洗っています。
綿素材の生地は限りなく薄くなり、ペラペラ。
光にかざしてみると、向こう側が透けて見えそうです。
ハンカチも、もう8年ほど使っています。
今にも破けてしまいそう。柄も薄くなっています。
下着も、ゴムが伸びて、ヨレヨレ。
綿のズボンは、5年ほど着て、ついに膝が破れてしまいました。
夫のこだわり
肌に直に接するものは、「皮膚と同化するほどクタクタ、ヨレヨレになったものがいい」というのが彼のこだわりです。
新しい衣類は、シャンとし過ぎて、どこかよそよそしくて落ち着かないと言います。
糊のきいたパリッとしたものはNG。
リタイアしてから、冠婚葬祭用の黒以外のスーツは、処分しました。
着古した綿のズボンとTシャツ、そして履きつぶす寸前のスニーカーが夫のお決まりのスタイルです。
愛情をもって長く使い、断腸のお別れ
ほかの人が見れば、もうゴミ寸前のヨレヨレの衣類も、夫にとっては大事な財産。
「ここまで着こむのは大変なんだ」とご満悦。
愛情をもって長く使い、そして、もうどうにもならなというところまで見届けて、それこそ断腸の思いでお別れする。
「今日、思い切ってあのズボン、捨てたんだ。長く履いてきたからなぁ」と夫。
「ズボンもきっと喜んでいると思うよ」
そんな会話を真剣に交わす私たち夫婦です。
アンバランンスも、それぞれに楽しめれば・・
私は、夫ほど身に着けるものにこだわりがありません。
古くなれば、処分し、新しいものを買い足しもします。
糊のついたものもOKですし、それぞれの風合い楽しめばよいと思っています。
少し改まったレストランなどの出かけるとき、夫は、「この格好でいい?」「いつものスタイルでいい?」と尋ねます。
夫が、一番リラックスできることが大切なので、ストップをかけることはありません。
私は、少しオシャレをしてパンプスを履き、夫はいつものズボン・Tシャツ、スニーカースタイル。
アンバランンスではありますが、それぞれに楽しむこと、それが一番大切だと思っています。
夫の生きざま
思えば、この夫の好み。
夫の生きざまそのものような気がしています。
縁あって自分の元にやってきたものに対しては、とことんつき合って愛情をかける。
もう、今さらそれは変わらないし、変えられもしないと思っています。
その人が何を上質だと思うかは、その人の生きざまが現れる。夫をみていて、そんな気がしています。
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