田舎暮らしで外せない雑草問題。そしてご近所問題。
新緑が美しい季節を迎えています。
むせかえるような若葉に、陽の光が当たって息をのむような美しさです。
高層ビルの谷間から移住してきた私たち夫婦は、毎年この季節には何度も歓声をあげています。
ただ、この草木の生命力の勢いと逞しさは、雑草との闘いを暗示するもの。
そんなことは、移住前には全く考えてもいませんでした。
地元の人が「あんなぁ、草がなぁ、木になんねん」
そう教えてくれたのは、移住1年目の頃。
草取りを怠っていると、やがて草だったものが、人の背を追い越す高さに成長し、幹も太くなって、草刈り機でも難渋する「やっかい」ものになるとのこと。
その時はピンときませんでしたが、翌年、まさに、「草が木になる」を実感。
それから、夫の主要業務に草取りが加わりました。
この草取り。
自分の庭だけの問題ならばよいのですが、雑草の種が飛び、ご近所にご迷惑をかけてしまうというやっかいな問題が。
自宅周辺は、家の敷地を高い塀で囲むことが禁止されています。
塀があれば、雑草の種が飛ぶこともないのでしょうが、自分の敷地に草を生やしていると、種が風に乗って、ご近所の庭で繁茂する可能性が。
しかも、ペットを保護するために、除草剤の使用も認められていないので、除草の手段は手作業しかないのです。
ご近所のAさんは、庭づくりが生きがいです。
洋館風のご自宅のお庭は、ゴルフ場と見まがうほどの青々とした芝生が敷き詰められ、花壇には色とりどりの季節のお花が。
早朝からお庭に出て、作業に余念がありません。
そんなAさんが、「お隣から雑草の種が飛んでくるので、とってもとっても生えてくるのよ」
そんなことをフト漏らされたことがありました。
別荘に半年ぶりに行ってみたら、庭の草はぼうぼう。
そして玄関に、「草を抜きなさい。種が飛んで、皆、迷惑しています」という張り紙があったというある方のお話しを聞いたのもこの頃でした。
「えらいこっちゃ!こりゃ大変!ご近所に迷惑をかけてるかも!」
それから夫は、雑草に敏感になりました。
雑草は、大きくなってしまうと根が張って、とても抜きにくく重労働。
でも、ほんの3~4センチの生まれたてをみつけて、慎重に根ごと取ってしまえば、種をつけることもなく、翌年の草取りがぐっと楽になります。
夫は、庭を這うようにして、雑草退治を続けています。
そうやって続けているうちに、雑草に詳しくなった夫。
一口に雑草と言っても、もともと「雑草」という名の草はないと昭和天皇がおっしゃったそうですが、それぞれに固有の名前をもった植物です。
葉の形も根のかたちも、生え方もそれぞれに個性があるとか。
今では、ご近所の方に、雑草の見分け方や抜き方をレクチャーするようになり、雑草との格闘も、これはこれでひとつの楽しみになったようです。
それにしても、田舎に暮らすうえで、「雑草問題」がバカにならないウエイトを占めることは、移住前には予想もしなかったことでした。
家主には、自宅と庭、植栽した木々や花の類ばかりではなく、雑草の種の管理までが必要とされるとは。
まぁ、雑草の管理ができる体力と気力のあるうちは、せいぜい緑豊かなここでの暮らしを楽しもうと思います。
目を通していただきありがとうございました。
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