還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

「胃瘻はしない」という選択はあるのか

胃瘻をするか否か、私たち家族に重大な決定が迫られました。

胃瘻をすれば、命を長引かせることはできるけれど、それは母親の幸せに本当につながるのか。

胃瘻をした後の母親の未来に明るい将来の姿を見出せないと感じた私たちは、「胃瘻はしない」という方向に傾いていきました。

 

胃瘻をしないということは

「胃瘻はしない」と決断するためには、胃瘻をしなかった場合、母親と自分たち家族に何が起こるのかをハッキリさせておかなければなりません。

胃瘻をしなかった場合に起こる事柄、必要となることを具体的に考えてみました。

①付きっきりで介護する覚悟

 胃瘻をしなければ、受け入れてくれる病院や施設はほとんど皆無。

それは、必然的に在宅ケアの方向にシフトすることを意味します。

嚥下の機能としては保たれていても、高次脳機能障害により一連の摂食機能が落ちている母親。

脱水や低栄養に陥ることは承知のうえで連れて帰ってくるのであれば、誰かがつきっきりで介護をし、さまざまな工夫をこらして何とか「食べられる状態」をつくりだし、それをキープさせなければなりません。

連れて帰ってきたはいいけれど、後はヘルパーさんにお願い・・それは、あまりにも無責任。

姉か私が、泊まり込みで母親を介護するだけの覚悟が必要です。

 

②次第に弱っていったとしても、それを見守り見届ける覚悟

 必要な栄養が生き渡らなければ、徐々に母親は弱っていくでしょう。

口数が減り、反応が乏しくなり、体はおろか首も支えることができなくなり、全くの寝たきりに。

低栄養状態になれば、床ずれができるかも知れません。

もちろん、やせ細っていくことでしょう。

そうした過程を、つぶさに、母親に寄り添いながら見守る覚悟がなければ、やはり胃瘻をせずに連れ帰ってくるのは無謀なこと。

連れて帰ってきて、どうしてもダメなら救急車を呼んで入院させることも可能ではありますが、入院先でやはり胃瘻を勧められるでしょう。

そのようなことになれば、最初から胃瘻をすればよかったと後悔することは明らかです。

 

③在宅療養を支える盤石な医療・福祉の体制

 必要な水分、栄養がとれない母親を退院させて在宅ケアを行うには、家族だけでは到底困難です。

さまざまなトラブルに対応してくれる医師や看護師、そしてヘルパー、ケアマネージャーの皆さんの強い後ろ盾なしには、到底乗り切ることはできません。

 

こうして考えてみると、それぞれに家庭や仕事をもつ姉と私には、付きっ切りの介護は難しく、次第に衰えていく母親を、父親が真近かに見続け、見届けることは、到底無理だと言わざるを得ません。

そんなことをしたら、父親が壊れてしまう。姉とは、そんな会話を交わしました。 

 

 

 

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