還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

昨日、うどん屋で事件は起きた。誰にだって意志がある。3歳児の怒り大爆発!

昨日、近くのセルフのうどん屋さんへ夫とランチに出かけました。

土曜日のお昼は、保育園つながりでしょうか、小さなお子さん連れのファミリーで大賑わい。

いつもは、高齢者か建設工事関係の方が無言でうどんを啜る店内は、子供の声で溢れかえっていました。

 

一緒に入店してきた4家族。

お子さんたちは、これからお出かけの予定があるのでしょうか。どの子もテンション高め。

「ボク、きつねうどん」「私、これがいい!!」と口々に叫び、パパとママは、「わかったから静かにしてっ」と周囲を気にしておられました。

そんななかに、ニコニコとひとりの女の子。

夫が気に入ったのか、人懐っこそうな笑みを浮かべては、ママのスカートに顔を埋めていました。

「いくつ?」との問いかけに、小さな指を3つ立てて、「三歳」と。

その女の子のお望みは、「冷たいの」。

お兄ちゃん、お姉ちゃんとともに、冷やうどんの小を注文。

小上がりの座卓に、一家5人、無事うどんをゲットして納まったのでした。

 

そして、食べ始めたものの、そこからが大変。

つゆの入ったそばちょこ(うどんだからうどんちょこ?)に、自分でうどんを入れ、大人気分で食べるというのが女の子のちょっとした夢だったのでしょうか?

ママがうどんをつゆにつけようとするのを断固拒否!

「自分でやる!!、自分で!!」とママの手を払いのけ、自分でしようとするものの、当然箸でもフォークでもうまくいかず、最後は5本箸。

つゆにつけて啜り始めたものの、どうやらこれではうまくいかないと思ったのか、立ち上がって啜るつもりが、立ち上がってもうまく啜れない。

つゆのついたうどんはあちこち放物線を描き、その都度、おつゆのしずくをまき散らすという結果に。

パパとママの顔は歪むものの、本児は満面笑みの得意顔。

 

そこでママが、「ダメ!」と一喝し、ある行動に出ました。

本児の冷やしうどんを別のお皿に移し、そのうえからおつゆをかけて、「ほら、食べなさい」と本児を座らせ、差し出したのでした。

それを見た本児、「ギャーッ!」と叫び、「イヤだイヤだっ!」「ちがう~っ」とママの余りの理不尽な行動に滝のような涙で猛烈抗議。

身体をくねらせ手足をバタバタさせて、イカになり、タコになり、畳に突っ伏して怒りを爆発。

斜め前のテーブル席でつぶさに事の仔細を見ていた私たちはもちろんのこと、店中のお客さんが一斉の注目する事態に発展したのでした。

あわてたパパとママが、本児を抱き寄せ、とりなそうとしても、全く通じず。

お兄ちゃんとお姉ちゃんだけが、「また始まった」とばかりに、お行儀よくうどんを啜っていたのが印象的でした。

 

そこへ助け舟を出したのが、隣のテーブル席で、これまた冷たい天ざるうどんに箸つけようとしていた初老の男性。

「これにつけて食べたいんか。これで食べ。おっちゃんのやるわ」とおつゆを差し出したのです。

本児は、それをチラッと見るなり、すぐさま小さな手を出して、「これこれ、これなのよ」とばかりに受け取ろうとするではありませんか。

当然、すでに涙はなく・・。

 

「すみません。ありがとうございます」と恐縮するパパとママをよそに、今度は大人しく、かつ神妙に冷うどんにつゆをつけて食べ始めました。

店内、「やれやれ」という感じで、それぞれが各自のうどんに取り組み始めたのでありました。

 

店を出てから、

「大人みたいに、そばちょこにうどんを入れて食べたかったんだろうなぁ」と夫。

「ちょっと、大人気分でわくわくするんだろうね」と私。

3歳の子供の気持ちわからなくもないけれど、パパ、ママも本当に大変。

「わかるわ~、お皿に移してつゆをかけたお母さんの気持ち。ホント、わかるわ~」とつぶやく私に、夫は、

「いくら小さくても、自分のうどんは自分のうどん。勝手にどうこうしてはいかんのだろうなぁ。小さくても、はっきり自分の意志がある。怒ってたなぁ。すごかったなぁ。傷ついたんだろうなぁ。子どもはすごいなぁ」と、子供の抗議に、いたく恐れ入っておりました。

そして、話題は、子育てから介護に発展。

「そうだよね、子供だけじゃなくて、認知症のお年寄りなんかも一緒だね。介護する側は、自分の都合ですすめたくなるけど、その人のやり方、意志を大事にしなくちゃいけないんだろうね」

「まっ、そういうこっちゃなぁ。」とうなずく二人。

 

それにしても、隣のおっちゃんのナイスなフォロー。

なんて機転が利いて、かつ優しいんでしょう。

地域みんなんで子育てするって、きっとこういうことかも。

唖然とするばかりだった夫と私は、そのおっちゃんに「ヒーロー大賞」を心の中で授与したのでありました。

 

 

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