JIJITOXIN(ジジトキシン)特効薬はあるのか!介護という親子関係の最終章
JIJITOXIN(ジジトキシン)
耳慣れない言葉でお騒がせいたしております。
JIJITOXINとは、我が老父が周囲に放つある種の「毒」。
その毒とは、主に以下の成分によって成り立っております。
・都合の悪いことは、人のせいにする
・他人を、自分を助ける道具のように扱う
・自分より立場の弱い人を怒鳴りつける
・自分の思い通りに人を動かそうとする
・自分の弱みを武器にして、時にあわれを誘って自分を有利に導く
JIJITOXINの被害にあった姉の逆襲
さてさて、そのようなJIJITOXINを内包している我が老父。
先日、この猛毒が姉に向けて発射されるという事故が起こってしまいました。
現場の様子はこうです。
去る9月8日の午後、姉が父を伴って、施設入所中の母親を見舞ったところ、母が今はすでに売却してしまった家について「あの家はいい家だったねぇ」と。
それを聞いた父が、
「かあさんの好きだったあの家は、A子(姉)が勝手に売っぱらいやがったんだ。金なんかあったのに」と独りごとを言うように、JIJITOXINを発射。
自宅の売却をめぐり、父と何度も話し合った姉。
父も売却に積極的となり、姉は不動産屋さんをみつけ、何日もかかって家族総出でゴミ屋敷を整理。
仕事をもちながら、不眠不休で介護に自宅の整理に奮闘した姉は、
どれほど父親に尽くしても、決して報われることなく、何か都合の悪いことが起こると、すべて自分のせいにされるJIJITOXINの毒性の強さに今さらながら驚き、
咄嗟に、
「お父さん、そういうこと言うんだったら、もう私、これ以上のことはできないわぁ。もう、無理。ちょっとしばらく休みます。」と告げ、それでもその日は父親の施設まで送り届け、姉は「さようなら」と立ち去ってきたそうです。
それは初めて向き合った経験
今回、姉が、「もう、これ以上のことはできない」と父親に告げましたが、思えば私たち姉妹は、およそ父親と向き合うということがない娘でした。
それは、父親が、感情のコントロールが困難で、瞬間的に怒鳴り散らし、特に立場の弱い者(母親)に当たることが見えていたから。
父親に怒鳴られることはもちろん怖かったし、それによって「オマエの育て方が悪い」と母親が攻撃されるのも辛い体験でした。
我が家には、「もう、お父さんに何を言ってもムダ。波風を立てないのが一番」そんな不文律がありました。
そんななかで姉がとった対処は、「いなす」。
父親が何を言っても、適切に(適当に?)いなし、正面からは向き合わない。
そして私の対処は、「逃げる」。
なるべく父親とは距離をとり、近づかない、寄りつかない。
そうして、何とか均衡を保ってきた親子の関係に、今、新しい風が吹きかけているようにも感じます。
これで多少は変わるのか?向き合わざるを得ない介護という親子関係の最終章
この話しを聞いた夫は、
「今までが余りにも異常すぎたんだよ。これが、言いたいことを言い合う練習になるんじゃない?」と。
父親が理不尽なことを言いだしても、「受け流す」「いなす」という対処で何とか表面上は平静を保ってきた姉。
しかしここへ来て、「受け流す」という対処の限界にきたようです。
到底受け入れることのできない父親の言動を前に、「突き離す」姿勢を見せました。
娘に突き離されるという体験を、89歳にして味わう父。
どんな反応を見せるのでしょうか。
いずれにしても介護とは、
親の人生の最終章に立たされ、
たとえそれまで向き合おうとしてこなかった親子ではあっても、
向き合うことを余儀なくされる日々でもあると再認識。
JIJITOXINの特効薬は、命がある限り、やはりJIJIと向き合うことしかないのかも知れません。
こちらの生命力がもてばの話しですが・・・。
目を通していただきありがとうございました。
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