還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

癌であることを打ち明けられたら、何と応えますか?

癌であることを誰にどう伝えるか

昨年の10月、早期の乳がんであることがわかり、12月に手術を受けた私。

そのことを誰に、どう伝えるかを考えた時期がありました。

広く宣伝するようなことではないけれど、かといって、誰にも伝えずにいるもの不自然。

特に、入院中、趣味のサークルをお休みすることになるため、直接的にご迷惑をかけることになるごく親しい人には、伝えることにしました。

 

伝えた反応あれこれ

ある友人は、伝えた瞬間、驚きを隠せないようで、眉をひそめ、とても心配といった表情になりました。そして、「いや~、ホント、ショックやわ~、大変なことになったんやね、大丈夫?」と心底心配してくれました。

 

またある友人は、「乳がんって、早く見つければ、治るっていうやん。大丈夫!大丈夫。頑張ってよ!」と終始「大丈夫モード」で励ましてくれました。

そして、乳がんを体験したことのある友人は、「乳がん?私も乳がんしてるから、何でも聞いて!乳がんなんて、大したことないよ!」と激を飛ばしてくれました。

 

人は、自分の枠組みで判断する

どの友人も、思いやってくれる気持ちは痛いほど伝わってきました。でも、同じことを同じように伝えても、反応は人それぞれ。

「乳癌=やっかいな病気、死に至ることもある病気」というイメージを持っている友人からは、ショックを隠せず、心配で仕方ないという反応が返ってきました。

また、「乳癌=治りやすい癌」という認識を持っている友人からは、「大丈夫モード」の反応が返ってきました。

そして、「自分も乗り超えてきた」という自負のある乳癌サバイバーの友人からは、自信に基づく激励の反応が返ってきました。

それぞれの反応の違いから、その人が、どのようなイメージ、認識、体験を持っているのか、その人の枠組みが、どう応えるかを決めるのだとつくずく感じました。

 

告げた私はどう感じたか

乳がんであることを伝えた私自身の受け止め方、それは、

あまり心配されると、その人の心配を和らげなければならないような気持ちになって、気分を盛り上げるようなことを言わざるを得ず、疲れを感じることもありました。

また、「大丈夫、大丈夫!」と頭から決めつけられると、「そんなに軽く言わなくても」と複雑な気分になることもありました。

そして、「私の場合は」と体験を前に話されると、「えっと、あなたと私は違うかも」という気持ちになることもありました。

本当に、あまのじゃくな私。患者という立場になってみると、やはり「取り扱い注意」信号が点灯しがちになることを感じました。

 

つまり、どう応えて欲しかったのか

それでは、いったい自分はどう応えて欲しかったのでしょうか。

ある友人は、視線をそらさず、私が言い終わるのを軽く頷きながらじっと聞いた後、

「大切なことを話してくれてありがとう。いろいろ大変なことがあると思うけど、力になれそうなことがったら、何でも言うてね」とただそれだけを言って、普段の会話に戻っていきました。

伝えるべきかを迷っていた気持ちがふっと消えて、何とも言えない安心感が広がっていくのを感じました。

 

還暦ともなると、深刻な病を打ち明けられることも少なくありません。

今度、そんな機会があったら、自分のイメージ、考えや体験をまずは脇に置いて、静かに話に聞き入り、相手が何を欲しているのかを探りながら、さりげなくサポートの意思を表明できる、そんな対応を心がけたいと思っています。

あの日、自分がそうしてもらったように。

 

 

 

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