還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

私は「母の日」が好きじゃない。

もうすぐ今年も「母の日」がやってきますね。

少し早めのプレゼントを渡して、お母様に感謝のお気持ちを伝えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実は、先日、母の日をめぐって友人たちとこんな会話になりました。

「母の日って、ほんま憂鬱やわぁ、好きやないねん」と口火を切ったのは、お子さんのいらっしゃらないA子さん。

「ふむふむ・・」と頷く一同。

「そやなぁ、子どもがおらへんかったら、母の日は寂しいやろうなぁ」とB子さん。

 

そこへC子さんが、

「いやいや、子どもがおっても母の日、寂しい人もいてるで。ここに。うちんとこの息子たち、もう何年も、母の日やからって特別な連絡は一切なし。でもこっちは、母の日やから、今日はメールのひとつ、電話の1本ぐらいはかけてよこすかなって期待するやん。これでも朝から待ってんねんで。でも、ここ何年も何の連絡もなしや。寂しいというか、情けないというか。ほんで、フェイスブックやLINEで友達が、「こんなんプレゼントでもらいました」ってまわってくるやん。余計なんだか嫌な気持ちになんねん。母の日なんかなかったら、何の期待もせんさかいに、心も穏やかでおれんのに」と。

 

それを聞いたAさん。

「感謝される子どもは元々おらんから、それはしゃーないねんけど、感謝せんならん母親がまだ元気やから、話しがややこしいねん」と話し始めました。

Aさんによれば、Aさんとお母様は、「不仲な親子」。しかし、お母様にはその自覚がないらしい。A子さんはできるだけ離れていたいと思いながらも、母の日が近づくと「今年はこれがいい」とプレゼントのリクエストがあるそうな。お母様は80代半ば。

「あの年になって、よくもまあ、そんなに欲しいものが浮かぶもんやわ。物欲が凄いねん。そんな母親をみてるだけで、いやんなってくる」とAさん。

母親に対する複雑な思いを抱えつつ、気持ちとは裏はらに「感謝」を強いられることが苦痛だと言います。

「やって当たり前。そんなんほんまの感謝とちゃうやん。もう、いいかげん「母の日」卒業させてもらいたいわぁ」と嘆いていました。

 

そこへとりなすようにBさん。

「まぁ、欲しいものをハッキリ言ってくれるのは、逆に楽でいいやん。主人のお母さんへのプレゼントには、ほんと困ってんねん。あとから、長男の嫁はこんなんやったけど、次男の嫁はこれやとか、いろいろ未だに・・・。ほな、お金にしたらこっちも楽なんやけど、お金では心がこもってないって、ダメだししはんねん。誕生日に敬老の日、母の日と3回あんで。もう母の日はええわぁ」と。

 

そしてBさんは、

それより、「母の日」って、自分の母親のこと思い出さへん?それがいややねんと続けました。

「うちの母親は、高校生の時に癌で亡くなってんけどなぁ、今みたいにいい痛み止めもなくて、かわいそやったわぁ。なんにもしてやれんまま、亡くなってしもて・・。もう40年以上も前のことやのに、母の日が来ると思い出してほんま、切ないわぁ。あんなに早く死んでしまうんやったら、もっと優しゅうしてやればよかったとか、何であの時、あんなこと言うたんやろとか、そんなどうしようもないことばっかり思い出すねん。普段はころっと忘れてるのに、この時期になるとふっと過って、辛くなんねん。母の日、私も好きじゃないわぁ」と。

 

AさんもBさんも、そしてCさんも、それぞれのご事情から、「母の日」には複雑な思いを抱えておられるようでした。

「あれ、デパートの陰謀やないの?チョコレートと同じ。プレゼント買うてくださいっていうのに、うまく乗せられとるんと違う?」

 

考えてみれば、世の中の変化は著しく、お母さん不在の父子家庭や、事情があって母親と離れて暮らすお子さんもいらっしゃる。

お母さんになりたかったけれどなれなかった女性や、お母さんにはなったけれどお子さんとの縁の薄い母親、母親に感謝をと言われても、感謝できない子どもなど事情はさまざま。

母の日と言えば、カーネーションの花束とプレゼントを前に微笑む母親と子供たち。

そんな画一的なイメージが浮かびます。

「母の日って、なんや、幸せの押し売りみたいでかなわんなぁ」

そんな言葉に、深く頷く、「いろいろ訳アリ」な私たちでした。

 

 

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