還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

あの人も、「立派に飲める肝臓に戻してもらってリッパに飲む」ことを繰り返していたのだろうか。アルコール依存症の治療について考える。

先日のTOKIOの記者会見で、松岡さんから、「アルコール依存症だとは気づいていたけれど、診断書に書いてなかった」

そんな主旨の発言がありました。

アルコール依存症だということがわかっていたら、もっとご本人とも向き合い、メンバー全員でサポートする方法もあったのに・・。

そんな無念さを感じました。

 

先日もお話ししたように、私の周囲にも、お酒で苦しんだ人がいます。

そのなかで、アルコール依存症の専門治療機関につながったのはたった一人だけ。

あとは、内科病棟に入退院を繰り返し、帰らぬ人となりました。

「お酒で肝臓がやられてますね。入院して治療しましょう」

という医師からの説明はあっても、「あなたはアルコール依存症です」とはっきり告げられてはいなかったと思います。

「アルコール性の肝機能障害」

それが診断名であり、悪いのは肝臓。決してアルコールが生み出す脳の病気だとは、本人も周囲も思っていませんでした。

 

 

そして、内科に入院して肝臓の機能を回復させる点滴を受け、肝機能が戻ったところで退院を迎える。

その頃には、倦怠感や吐き気もなくなり気分も良好。

つまり、「また立派に飲める肝臓に戻してもらい、退院後にまた立派に飲む」ということの繰り返しだったように思います。

 

でもこれは、10年以上も前の話し。

今は、アルコール依存症に対する医療者の認識も変わり、内科と精神科の連携もすすんでいるはず。

早期にアルコール依存症患者をスクリーニングして、専門的に治療するルートにのせるシステムもできているのだろうと思っていましたが、そうでもないのですね。

 

ご本人の謝罪会見で、「依存的なものはないと思う」とおしゃっていました。

あの発言を聞いた、ごく最近まで彼を担当した入院先の医療者は、どう感じたのでしょうか?

あれほど「依存症」であること、その怖さを話したのに、本人には伝わっていなかったと肩を落としたのか、肝臓の治療に重点を置き、医療者自身が依存症であることをさほど重視していなかったのか・・。

ひょっとしたら、医療者も依存症という事実にしっかり向き合っていなかったのではないか、とも思えてきます。

 

ご本人も、メンバーの方々や事務所の関係者、皆さんが薄々その存在に気づいていたアルコール依存症

ただ、誰もが、医療者さえも、向き合うこと、鈴をつけることを避けてきたなかで起こった出来事のような気もします。

アルコール依存症」は、誰にでも起こり得る問題。

アルコール問題を気軽に相談し、カミングアウトしやすい風通しの良い社会、そして治療のシステムづくり。

今回の問題は、そんな多くのことを投げかけてくれたような気がします。

 

  

目を通していただきありがとうございました。

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