還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

「いらない」ときちんと断れる人ですか?断るコミュニケーションを考える。

押し売りや勧誘の類。

自慢ではないけれど、脇を固めて断固断る自信があります。

ただ、相手がご近所や友人の場合には、未だ修行中。

関西のおばちゃんは、なかなかにして手強い・・。

今日はそんなお話しです。

 

さてさて、今年も筍の季節がやってきました。

当地では、「筍、いらんか?」が挨拶がわり。

昨今、竹藪は猪、イノブタの住処になっているようで、早く収穫しなければ、「ヤツらに取られる」そうです。

かくして、筍の収穫に一層力が入り、食べきれない場合は、ご近所、友人におすそ分けというのがセオリー。

 

筍は、季節感が感じられ、好きな食材のひとつです。

ただ、皮を剥き、あくを抜く下処理にかなりの時間と労力がかかり、夫との二人暮らしでは、美味しくいただける量も限られています。

初物の頃は、ありがたくいただいていたものの、バチ当たりなことに、5回目、6回目と度重なるうちに、だんだんと「もう、筍はいいね」という心境に。

 

そんなころに、「筍、いらんか?」の声。

「えっ!また筍・・」と少々口ごもっていると、「ほなここに置いとくで」と玄関先に立派な筍。

「いらんか?」と言われた時に、即座に「いらん」と意思表示しなければ、それは「いる」ということになるもよう。

関西のおばちゃんは、かなりグイグイいらっしゃる。

 

でもねぇ。相手が好意で譲ってくださるというのに、即座に「いらん」と返すのは、どうも気が引けるではありませんか。

そんなときに、目の前でお手本を示してくださった方が。

 

「筍、いらんか?」の声に、間髪を入れず、

「いらん、いらん。筍ぎょうさんあんねん。昨日ももらって、あくを抜いたとこやねん。」

「ほな、いらんな。よっしゃ。またいるようになったら言ってな」

「ありがとう。また言うわな」

 

それは、何とも爽やかで、あとくされがなく、双方が気持ちよくなるコミュニケーション。

なまじ、「ありがとうございます。」などと喜んでいるかのような曖昧なことは言わずに、即座に「いらん」と意思を述べ、それから「いらん」と述べたことの理由を言えば相手も納得。

 

そして、先日はこんなパターンも。

「筍、いらんか?」

「筍って生やろ?あく抜きしたやつならもろてくけど、生はいらんわ。」

「そりゃ生やわ。今朝、掘りたてのやつ。でも、生はいらんのやろ。ほな、あく抜きしといたげる。明日、家に取りにおいで。」

「ホンマ、ありがとう!あつかましゅうてごめんな」

「ええよ。捨てたらもったいないやんか。ほな、明日」

 

とにかく、当地のお姉さまは、何かにつけ直球勝負。

「いる」か「いらんか」。

いるものはいるし、いらないものはいらない。

いらないけど、断りにくいとか、欲しいけど頼みにくいというグレーゾンは基本なし。

慣れれば、そんなコミュニケーション、とっても楽なのだろうと思います。

 

この技を使いこなすには、瞬発力が必要。

ボーッとしていると、タイミングを逃してしまいます。

「いらん」とまずは口に出す。

 

筍の季節、これから細い破竹が出回る頃まで、「いらんか?」の声は続きます。

でも、何でしょう。

この率直なコミュニケーションを使いこなすには、ただ言葉だけの問題ではなく、大げさに言えば、生き方を変えないと、お姉さまの域には達しないのではないか。

そんなことを感じる日々です。

 

 

目を通していただきありがとうございました。

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