「いらない」ときちんと断れる人ですか?断るコミュニケーションを考える。
押し売りや勧誘の類。
自慢ではないけれど、脇を固めて断固断る自信があります。
ただ、相手がご近所や友人の場合には、未だ修行中。
関西のおばちゃんは、なかなかにして手強い・・。
今日はそんなお話しです。
さてさて、今年も筍の季節がやってきました。
当地では、「筍、いらんか?」が挨拶がわり。
昨今、竹藪は猪、イノブタの住処になっているようで、早く収穫しなければ、「ヤツらに取られる」そうです。
かくして、筍の収穫に一層力が入り、食べきれない場合は、ご近所、友人におすそ分けというのがセオリー。
筍は、季節感が感じられ、好きな食材のひとつです。
ただ、皮を剥き、あくを抜く下処理にかなりの時間と労力がかかり、夫との二人暮らしでは、美味しくいただける量も限られています。
初物の頃は、ありがたくいただいていたものの、バチ当たりなことに、5回目、6回目と度重なるうちに、だんだんと「もう、筍はいいね」という心境に。
そんなころに、「筍、いらんか?」の声。
「えっ!また筍・・」と少々口ごもっていると、「ほなここに置いとくで」と玄関先に立派な筍。
「いらんか?」と言われた時に、即座に「いらん」と意思表示しなければ、それは「いる」ということになるもよう。
関西のおばちゃんは、かなりグイグイいらっしゃる。
でもねぇ。相手が好意で譲ってくださるというのに、即座に「いらん」と返すのは、どうも気が引けるではありませんか。
そんなときに、目の前でお手本を示してくださった方が。
「筍、いらんか?」の声に、間髪を入れず、
「いらん、いらん。筍ぎょうさんあんねん。昨日ももらって、あくを抜いたとこやねん。」
「ほな、いらんな。よっしゃ。またいるようになったら言ってな」
「ありがとう。また言うわな」
それは、何とも爽やかで、あとくされがなく、双方が気持ちよくなるコミュニケーション。
なまじ、「ありがとうございます。」などと喜んでいるかのような曖昧なことは言わずに、即座に「いらん」と意思を述べ、それから「いらん」と述べたことの理由を言えば相手も納得。
そして、先日はこんなパターンも。
「筍、いらんか?」
「筍って生やろ?あく抜きしたやつならもろてくけど、生はいらんわ。」
「そりゃ生やわ。今朝、掘りたてのやつ。でも、生はいらんのやろ。ほな、あく抜きしといたげる。明日、家に取りにおいで。」
「ホンマ、ありがとう!あつかましゅうてごめんな」
「ええよ。捨てたらもったいないやんか。ほな、明日」
とにかく、当地のお姉さまは、何かにつけ直球勝負。
「いる」か「いらんか」。
いるものはいるし、いらないものはいらない。
いらないけど、断りにくいとか、欲しいけど頼みにくいというグレーゾンは基本なし。
慣れれば、そんなコミュニケーション、とっても楽なのだろうと思います。
この技を使いこなすには、瞬発力が必要。
ボーッとしていると、タイミングを逃してしまいます。
「いらん」とまずは口に出す。
筍の季節、これから細い破竹が出回る頃まで、「いらんか?」の声は続きます。
でも、何でしょう。
この率直なコミュニケーションを使いこなすには、ただ言葉だけの問題ではなく、大げさに言えば、生き方を変えないと、お姉さまの域には達しないのではないか。
そんなことを感じる日々です。
目を通していただきありがとうございました。
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