還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

「私のオハゲたん」と脱毛を慈しむ乳がん治療中の友。バンザーイ(*^-^*)

癌友さんとの再会

連休中、乳がん治療中の友人が訪ねてきてくれました。

彼女とは、私が乳癌の手術で入院したとき、偶然にも同じ病室となった「癌友」さんです。

彼女は40代で独身。

しこりの大きさから乳房は全摘。

そして手術後には、再発予防のための、抗がん剤治療、ホルモン治療を勧められ、先月はじめに長かった抗がん剤治療が無事に終了。

退院後は、頻繁にメールでやりとりをしたり、抗がん剤治療が始まる前には、時々会っておしゃべりしたり。でも、ここ最近は、少々途絶えがち。

気になっていたところ、「体力もずいぶんマシになったら、一度訪ねたい」という連絡を受け、7か月ぶりの再会となりました。

 

ウイッグを外した彼女

「暑いね~!」それが彼女の第一声。

そして、しばらく話しこんだ後で、

「ごめん。私、オハゲたんやけど、かつら取らしてもらってもいいかな」と。

抗がん剤の副作用で脱毛が進み、ウイッグが手放せなくなった友人。

ただウイッグは、やはり「蒸れるし暑い」とのこと。

「どうぞ、どうぞ」と言う間もなく、彼女はウイッグをに手をかけ、「よいしょ!」

「完全オハゲたんだったんだけど、最近、ちょっと生えてきて、チクチクするのよね~」と苦笑しながら、「ほら、ちょっと生えてきてるでしょ」と復活劇を詳細に話してくれました。

 

盛り上がるオハゲたん話

それは、抗がん剤投与の何日目から脱毛が始まり、完全オハゲたんになったのが何日目なのか。

その間の心の変化とオハゲたんになったことで生じた日常生活の困りごと。

そしてこれまでの対処の方法など、体験者ならではの生き生きとした語りのオンパレード。

強風でズラがずれた話しや、慌ててズラをかぶらずに駅まで行って気づいた話し。

ズラをシャンプーしたら、全く別物になって慌てた話し。

笑ってはいけない場面とは知りながら、お互いに、もう笑いが止まらない!

 

まず、この「オハゲたん」という呼び名に私はすっかり魅了されてしまいました。

彼女の使い方はこうです。

「私のオハゲたんはね・・」

「オハゲたんだとね~」

「オハゲたんをね~」

なぜか「オハゲたん」「オハゲたん」と連呼する友人。

 

治療を頑張った証

私は、思い切って、「ねぇ、オハゲたん、けっこう気に入ってる?」と尋ねてみました。

彼女は全く躊躇することなく、「そうなの、そうなの、かわいいでしょ、オハゲたん」と笑顔。

友人は、自分の身を守るために命を散らした髪を思うと、「ハゲ」「剥げ頭」なんていうのはかわいそう。

他人から見れば無惨な姿かも知れないけれど、これは、あの苦しかった抗がん剤治療を頑張った証。

この頭を見るたびに、「頑張ったぞ、ワタシ!」という気持ちになり、生え始めた赤ちゃんのような頼りない産毛を見ると、「ああ、確実に回復している」と感じ、嬉しくなるのだそう。

そこには、乳がん患者、抗がん剤治療、脱毛・・・それらにつきまとう暗く重いイメージを全く感じさせない彼女がいました。

 

アッと言う間の2時間。

笑い疲れた後、彼女は、「今度会うときには、自毛ですから」とにっこりほほ笑んで帰っていきました。

「何だか、笑ってばかりでごめんね~」と声をかけた私に、彼女は、

「いいの、いいの、このオハゲたんを見て欲しかったの」と謎の?言葉を残し車に乗りこみました。

何か他に言いたかったことがあったのかも知れませんが、彼女が立ち去った後、とてつもないパワーをいただいたような気がしました。

 

何があっても自分を慈しみ、辛さを笑いに変えて自分なりのやり方で乗り切っていく。

例えば、私もいつか、抗がん剤の力を借りるときが来るかも知れません。

その時には、「おハゲたん」と愛おしんで、その時しかない「今」を彼女のように生きていきたい。

 

たくさん笑った後、胸がじんわりと温かくなった午後でした。

 

 

目を通していただきありがとうございました。

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