還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

様変わりする田舎の介護事情

シニア世代が集まれば、話題はだいたい、「介護」、「年金」、「病気」、「お墓」だそう。

少し前の私なら、そう聞いて、「へぇ~」と笑っていたものです。

ところが、昨日の友人たちのと話題は、もっぱら「介護」。

メンバーは、60代2人、40代1人。そして私の4人。

60代の方は二人とも、両親をすでに見送り、現在は民生委員として地域のお年寄りの相談相手をされています。

そして40代の友人は、小規模多機能施設のケアマネージャー。

そんな友人たちから、当地の介護事情をいろいろと教えていただきました。

 

私の住む街

都会から移住して住み着いたこの町は、人口約5万人、高齢化率33%。

2040年には、高齢化率42%を超えるだろうと予測されている過疎地帯です。

少子化から、この十年で小中学校の合併が進み、いたるところに取り残された廃校が。

漁業と農業、観光を主産業とし、漁業・農業は、やはり後継者不足が深刻です。

 

次々にできる高齢者施設、待機はほぼゼロ

小・中学校の廃校跡地利用として、次々に特養や有料老人ホームの建設が進んでいます。

特養は、要介護度3以上というしばりがあるため、施設をオープンさせても利用者が集まらず、空きが出ているとのこと。

他の施設も、ほぼ待機なく入所できるようで、「特養待機数十万人」、「特養入所1年、2年待ち」という都会の状況とは大きく異なっているようです。

 

変わる価値観

60代の友人は、両親、義理の両親ともに施設で看取っています。

2人とも、民生委員を務めていますが、ここ数年、ご自分の担当地区内で自宅で亡くなった高齢者は皆無だそうです。

「『昔は、年よりは嫁が世話するのが当たり前』で、長いこと寝た切りの末に、自宅で亡くなる人も多かったけど、今は、一人暮らしの人も多いし、せいぜい年よりの夫婦二人暮らし。世話する家族がいないし、いても、皆、仕事してるからね」

なるほど・・・。

「それに、本人が、アカンようになる手前で、早めに施設に入りたがるのよ。車の運転ができなくなったらそろそろ皆さん考え始めるみたい。施設には、知り合いもいるし、ご飯は出てくるし。お風呂も入れて、冬は暖かく、夏は涼しい。寂しくないし、不安もない。それに家族も安心する。」

なるほど・・・。

とは言っても、長年住み慣れた我が家。思い出の詰まった空間。自宅への想いを、そんなに簡単に断ちきれるものなのかと少々不思議に。

 

昼だけ、夜だけ、訪問、そして看取りも

「でも、お年寄りは、家にいたいっていう気持ちが強いんじゃない?」そんな問いかけに、小規模多機能のケアマネをしている友人が、施設の使い方を教えてくれました。

小規模多機能施設なら、できるだけ家にいたい人は、昼間だけ家にいてもらって、夜だけ泊まることもできるし、夜は家族が帰って来るから、昼間だけ見て欲しいっていう人は、それもできるし。

家にいる時に、訪問が必要なら、ヘルパーも訪問するし。

ここで最期を迎えたいっていう人は、看取りもするよ~。

 

身体機能の衰えに応じて、生活の拠点を少しづつ移す

友人が教えてくれたのは、当地の賢い老いの迎え方。

ギリギリまで自宅で頑張って、どうにもならなくなったら施設入所ではなく、少しづつ生活の拠点を自宅から施設に移して慣らしていく。

最初は、デイサービスの利用、そして、週何回かは泊まってみる。泊まりの回数を増やして日中、自宅に帰ってみる。そして本格的な施設入所というように。

 

当地では、都会に較べ、高齢者施設に格段の余裕があるようです。

田舎は、「介護は嫁の仕事」「施設入所なんて、みっともない、世間体が悪い」そんな考え方がまだ強いのではないかと思っていましたが、それは、私の思いこみだったようです。

友人の老後の希望は、「自分の身の周りのことができなくなったら、良いケアが受けられる施設に入りたい」でした。

さて、自分はどうするか・・・。

少なくとも、都会に戻る選択肢はなさそうです。

 

 

 

目を通していただきありがとうございました。

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