サービス付き高齢者住宅に入居への道のり。押したり引いたり、ピンチをチャンスに
サービス付き高齢者住宅に入居中の父親と、回復期リハビリ病院に入院中の母。
サービス付き高齢者住宅に入居したことによって、母親が入院後も、父親の暮らしが保障され、両親はもちろんのこと、私たち姉妹も、本当に救われました。
もしも父親が入居していなければ、認知機能も衰え、車椅子生活になった父を一人にしておくことはできず、姉が仕事を辞めて同居するか、私が父親を引きとるか。
父親も私たち姉妹も、そして姉と私の家族を含めて、とてつもなくストレスフルな毎日が待ち構えていたと思います。
将来的にどうするか
5年前、母は、その頃から多分認知症を発症していたのだと思いますが、家事ができなくなってきていました。
ゴミの分別ができず、家の中は、悲惨な状況。
料理もままならず、「何を作ったらいいのかわからない」、「お父さんは、怒ってばかりで、ホント、イヤになった。もう死にたい」と泣きながら電話がかかってくることも。
まだその頃は、母の調子にも波があり、比較的元気な時もありました。父も杖こそついていましたが、日常生活には問題がなく、介護度は、「要支援1」。
ただ、姉と私は、ヘルパーさんに入ってもらうことで何とか急場はしのげても、将来的にあの実家にずっと両親が住まい続けることは無理だと話し合っていました。
「快適に過ごせて、日々の生活に必要なサービスが受けられるところに入所してもらいのが、お父さん、お母さん、そして私たちにとっても必要なことだよね」と。
1歩進んで2歩後退
ただ、すんなりと入居に至ったわけではなく、1歩進んで2歩後退。
両親の自宅への執着はかなりのもの。話しを持ち出すそばから、「そんなところに入れられるのはかなわん!」「ここから追いだそうっていったって、そうかいかん!」と怒りだす始末。
「そう、わかった。じゃ、この話しはなしね」とすぐに打ち消しつつ、「ただ、お母さん、ご飯作るのがしんどくなってるし、お父さんもお母さんも、美味しいものを上膳据え膳で食べられた方がいいんじゃないかと思って」と、少しだけ押したりも。
押したり引いたり、引いたり押したりすること半年余り。
その間、ますます母親の状況は悪くなり、「お父さんと別居したい」「離婚したい」「お父さんの世話なんてできない」とたびたび訴えるようになっていました。
そんな折り、自宅からほど近い新築の高齢者サービス付き住宅のチラシが入りました。
姉が、「こんなのできたよ、散歩がてら、見に行ってみない?」と誘ったのが、今居住している住宅です。
百聞は一見に如かず?
そこは、両親がイメージしていた昔の「養老院」とは全く違う現代的なマンション。
まず母親が、「わぁ~、すごいね~」と大きな溜息をつき、「こういうところなら、まっ、入ってもいいな」と父もまんざらでもなさそう。
ただ、その時は、夫婦で入居できる部屋は、その時点ですでに満室。
両親の気持ちが動いたものの、結局入居には至りませんでした。
姉の昇進
少し両親の気持ちは動いたものの、現状は変わらず。
そんな時、定年退職を2年後に控えた姉の管理職昇進の話しが舞い込みました。
姉は、両親に、「管理職になる話があってね」と切り出し、
「35年間頑張ってきた総決算として、この話しを受けたいと思うの。今までのように、お父さんとお母さんのところには行けなくなるし、日曜日も仕事で潰れることも多くなると思うけど、ここはやらせてもらうね」とキッパリ。
「そうかそうか、頑張れ!」と両親。
でも、励ますそばから、「そうか・・、〇子は、これまでみたいには来れなくなるのか」と溜息まじりに呟く両親。
「やっていけるだろうか」不安げな両親の姿がありました。
父親の入院がきっかけに
そして数か月して父親が肺炎で入院。
高熱で動けず、救急車で入院。初めてのオムツ体験。
ポータブルトイレに昇格しても、足元は頼りなく、あちこち汚して看護師さんにお世話になる始末。
怒鳴りつける相手もなく、父親も相当にまいったようです。
入院直後から、姉と私は、「お父さんはあの家に戻ってくるのは無理!」そう決意し、夫婦で入居できる施設を懸命に探しました。
母親も、「お父さんが帰ってきても、世話ができない。どこかに二人で入りたい」と。
ところが、要支援1の二人が、夫婦で入居できる施設がなかなかみつからず、結局ダメモトで、夫が以前ご縁のなかったサービス付き高齢者住宅に問い合わせてみました。
「今、夫婦部屋がひとつ空いています」
これぞまさしく救われた!
父親は、入院していた病院から直接、新しい住まいであるサービス付き高齢者住宅に退院しました。
最初に施設入所の話しをしてから1年3か月が経っていました。
サービス付き高齢者住宅とは
バリアフリー対応で、介護認定のつかない自立の方や要介護状態の高齢者を受け入れている賃貸住宅です。
生活相談員が常駐し、安否確認や様々な生活支援サービスがあり、要介護状態になれば、外部の介護支援事業所のサービスを受けることができます。
父が入居しているところでは、敷地内にクリニック、薬局、デイサービス事業所があり、建物内には、ケアマネさんとヘルパーステーションがあります。
3食の食事がつき、困った時には、コールを押せばヘルパーさんが対応してくれ、夜間の巡回もあります。通院は1分。服薬管理もお願いできます。
あの偏屈で気難しい父親にも、スタッフの皆さんが上手に対応してくださいます。
「お父さん、ここに来られてよかったね」そんな問いかけに
「ほんとうにそうだよ。ここに来てなかったら、あの家で飢え死に寸前で、息も絶え絶えだったなぁ」と父。
今のところ、「いろいろあったけれど、結果オーライ!」という感じです。
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