還暦からの再起動

リタイア後に田舎暮らしを始めた還暦女子。それなりの「人生の旬」を綴ります。

パン屋で商品を落としたらー老いの心得。

先日のことです。

一緒にお茶をしていた友人が、興奮した様子で話し始めました。

 

ひとりの上品なマダムが

友人がお気に入りのパン屋さんで、お目当てのパンを買おうとしていたときのこと。

開店時間直後のそのお店には、まだお客さんもまばら。

そこへ、背筋が伸び、年の頃は70歳代。ひとりのセレブ風マダムが入店してきました。

彼女は、真っすぐにハードパンのコーナーに進みより、600円ほどのブールをひとつ自分のトレイに置き、さらに、他の商品をあれこれ物色。

そして、他の商品をひとつトレイに置こうとした時、左手で支えていたトレイのバランスが崩れ、ブールが床に転がり落ちてしまったそうです。

「あらっ!」それに気づいた友人。

するとそのマダムは、何事もなかったように床に落ちたブールを素手で拾って自分のトレイへ。

そのままレジへ進むのかと思いきや、なんと!マダムは、ブールの並んでいたコーナーに近づき、そして、落ちたブールを戻し、新しいブールをトレイに置いて、レジへと。

何事もなかったように会計を済ませ、店を出て行ったとのことでした。

  

「あっけにとられるとはこのことだわ」

友人は興奮気味に話していました。

「ああいう時、何ていえばいいのか、『あの人、落としたんです』って言ったって、店員さんが見ていなければ、言いがかりをつけたようにもとられるし・・。ほんと、困っちゃった」と。

結局友人は、見て見ぬふりを決め込み、買物を済ませて店を出てきたものの、何となくスッキリしないと私に訴えたのでした。

「ああいう時、どうすればいいんだろうね」と友人は、自分が取るべきだった行動を考えあぐねているようでしたが、むしろ私は、その上品マダムのことがとても気になりました。

 

どうして、なぜ、彼女は、落ちた商品を戻したのか?

・どうせ誰も見ていないと思った?

・床に落ちたって、大丈夫、食べられると思った?(ただし、自分はイヤだけど)

・落としたことを申告するのが面倒だった?

・落としたことを申告すれば、自分の恥をさらすようで嫌だった?

上品マダムの気持ちを考えると、そのどれもが自分のなかにも多少は潜んでいるよう気がしてなりません。

 

人前で「やらかして」しまった時、どうやって事態をうまく収めるのか

これから年齢を重ねれば、きっと自分も、「落とす」「こぼす」「つまずく」「壊す」「ころぶ」「見落とす」「遅れる」「汚す」などなど、人も自分も困惑させることのオンパレードになるでしょう。

思いもかけず、人前で「やらかして」しまった時、どうやって事態をうまく収めていくのか、その方法を見出したい。

それは、できれば、「さすが、年を重ねていらっしゃるだけあるわ」と言われるような方法が望ましい。

これは日ごろから、イメージトレーニングをしておかないと、とても咄嗟の事態には対応できないと夫とも話しました。

 

それにしても、その後マダムは、このことをすっかり忘れておられるのだろうか?

もしも私なら、床に落としたパンを誰かが食べたことを想像して胸が痛くなり、もう二度とあのパン屋には行けないと思い詰めたり・・・。

パンの代金600円には到底替えられない痛みや後悔を背負ったような気がします。

老いの心得として、老いがもたらす失敗は避けられないとしても、せめてうまくそれに対処する人間力だけは持ちあわせていたい。

そう思った午後でした。

 

 

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