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還暦からの再起動

リタイア後に田舎暮らしを始めた還暦女子。それなりの「人生の旬」を綴ります。

取り壊しが決まった実家から何を引き取るか

父親のgoサインの元、早急に実家の売却に向けて動きだした私たち。

不動産屋さんが決まり、上物の家は解体し、更地にして売り出すことになりました。

不用品の廃棄、家の解体に関しては、不動産屋さんが業者を紹介して下さるとのこと。

業者の方が作業を始めるためには、事前に、大切なもの、思い出の品などを持ち出しておかなければなりません。

 

何か欲しいもの、手元に置いておきたいものはない?

姉からそう尋ねられても、なにも浮かばない私。

実家を出てから40年以上が経ち、年に1~2度しか帰省しなかった私は、そもそも何があるのかさえ、記憶もひどく薄れています。

「お母さんの、大島の紬ね、あれは、いいものだと思うの」

そういわれても、大島紬なんてあったかな?という調子。

「お父さんが大切にしていた備前のお皿も、もったいないよね~」

う~ん、備前のお皿なんてあったっけ?という感じ。

 

私、ほんとに何にもいらないの。手元に置いておいても、結局は使わないし。

というのが、私の本心。

それでなくても、還暦を迎え、断捨離が必要な年代。どうやって物を減らすかに四苦八苦しているというのに、そこへ大きなお皿や着物が増えることは、たとえ親から譲り受けた品物であっても、正直、あまり有り難いことではありませんでした。

「そう、いらないんだ」と少しがっかりした表情の姉。

「えっ?なんで?何かまずい?」と聞き返した私。

 

お父さんがね、娘に何をやろうかとちょっと楽しみにしてるのよ

親から譲り受けるものは、この身体以外には何もいらない。生を受けたのも、これまで生きてこられたのも、両親のおかげと思えば、それ以上に求めるものなど何もないと思っていた私でした。

ただ、それは、父親の気持ちを忖度したものではありませんでした。

「A子にはあれを、B子にはこれをやる」と父親なりに考えているというのに、「それはいらない、これもいらない、みんないらない」とはねつけてしまうのはどうなんだろう。姉は遠回しにそう言っているようでした。

「そっか、ちょっと考えてみるね」

父親の気持ちがわからないではないものの、正直、気持ちが重たくなりました。

 

 

モノは所詮モノ

冷たい娘だと、がっかりさせてしまう罪悪感を感じた私は、着物やお皿を譲り受けて、自宅に持ち帰ることを考えてみました。

大島紬はタンスにしまいっぱなしになり、我が家のキッチンやリビングには不似合いな備前のお皿は、食器棚の奥に押し込まれることになるでしょう。

両親から譲り受けたとはいえ、それは両親のお気に入りであって、私のお気に入りになるとは限りません。むしろ、それらのモノに、スペースと時間、労力を奪われるように感じれば、それは「負の遺産」になってしまいます。

もしも、それらに市場価値があるなら、お金に換えて両親が少しでもゆったりと生活してもらえればそれが一番です。

家族写真を1枚。それが、私が譲り受けたいもののすべてでした。

 

 

 

 

 

目を通していただきありがとうございました。

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