おしゃべりが聞こえる女性部屋、静まり返る男性部屋
乳癌の手術のために入院したのは
とある大病院の混合病棟。
私は、みなさん乳癌の治療を受けている4人部屋の一員となりました。
メンバーは、70代、60代、50代、そして30代と年齢の異なる面々。
初発で初めての手術を受ける人もいれば、再発治療のための入院もあり、乳癌が全身に転移している患者歴20年の方もいらっしゃいました。
自然に打ち解け、お部屋全体にあたたかな雰囲気が
誰ともなく、自然の自己紹介が始まり、すぐに打ち解けておしゃべりが始まりました。
手術の不安を口に出せば、「大丈夫!何てことない」と先輩の力強いエール。
また、医師に聞けなかった手術後の治療について、あれこれアドバイスを受けた患者さんもいました。
そこはまるで、乳癌であることが普通であるかのような世界。
子供を置いての入院で、気がかりなことを山のように抱えていた若い患者さんにも、笑顔が生まれ、出会ったばかりなのに、以前から知り合いだったような暖かな雰囲気が生まれていました。
気分が良ければ、食事の後、お茶を飲みながら、おしゃべりをして過ごしたものです。
隣の男性部屋は・・
ところが、両隣の男性部屋は、どちらも静まり返って物音ひとつ聞こえません。
病室から出て、日中デイルームで過ごしていた男性の患者さん(私たちは、親しみをこめて「おっちゃん」と呼んでいました)は、私たちのおしゃべりを遠くから眺め、
「女の人は元気やなぁ、男は全然アカン。しゃべれへん。パワーがちゃう」と呟いていました。
面会に来てくれた夫に話すと、「そりゃそうだ、こういう時、男はダメなんだ・・」と同意見。
もちろん、女性のなかにも、おしゃべりを好まない方もいるし、男性のなかには、話し好きの方もいらっしゃいます。単純に女性がこう、男性はこうと決めつけてはいけませんね。
ただ、それにしても、あまりにも女性と男性の違いがハッキリ見えて、感慨深いものがありました。
今の暮らしのなかでも
似たようなことがたくさん。
通っているジムで、おしゃべりに花を咲かせているのは、大部分が女性。何年通っていても、会釈程度で黙々と一人トレーニングに励んでいるのは男性。
地域の集まりで、率先して仲間と会を引っ張るのは女性。少し離れた場所から、手持無沙汰といった感じで、様子を伺うのは男性。
かくいう夫も・・・
気軽に誰とでもおしゃべりというタイプではありません。
どちらかというと、人付き合いが苦手です。
もしも、私が先に旅立って、夫一人が残ったら・・。
でもそれは、とんでもない取りこし苦労ですね。
「その時はその時で、きっと楽しく暮らしていくさ」・・ということにしておきます(笑)
目を通していただきありがとうございました。
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