気づかないうちに、両親の口座の残高が底をついていた
「これは、絶対におかしい」、「さて、これからどうする?」
姉と私が、父親の認知症という現実に直面したのは、父親の預金残高を確認したことがひとつのきっかけとなりました。
「通帳記入してきてくれないか」
歩行がままならなくなった父親が、姉に依頼し、姉が通帳をみると、預金残高はなんと5万円。
3年前に、サービス付き高齢者住宅に入居する際には、夫婦の口座に合わせて1500万円程度の貯金があったはず。
サービス付き高齢者住宅の賃貸料、管理費、食費、その他の雑費を合わせても、両親の年金で賄えると確認しての入居でした。
二人のおこずかいは、貯金から切り崩すとしても、あと15年は、何とか暮らしていける。15年といえば、父親は100歳、母親は95歳を迎えます。寿命とともに、貯金を使い果たしてもらえれば、それは一番幸せなこと。そんな胸算用をしての入居でした。
年金額が減ったとはいえ、たった3年で貯金が底をつくなんて!私たち姉妹にとっては、まさに想定外の出来事でした。
その原因は、父親のポチリ病
「お父さん、お金、何に使ったんだろうね」「ネットよ、ネット!」
父親は、歩行がおぼつかなくなって以来、パソコンにのめり込んでいきました。
特に、骨董品のネットオークションのページを毎日のように眺めては、品定めする日々。
最初は、「見るだけ」のつもりが、次第に実際に品物を購入するようになり、山のような掛け軸や絵画が届くようになりました。
私たち娘に見つかるとまずいと思ったのか、お宝は、押しいれに隠したまま。
父親が、ネットで品物を購入していることは承知していましたが、よもや、そのような事態になっているとは夢にも思わず、「まだお金はあるハズ」と思いこんでいた私たち姉妹。
母親は、承知していたと思いますが、父親には反論しないという長年の夫婦関係と、母親にもすでに認知症の症状が出ていたためか、母親からそのことについて聞くことはありませんでした。
お金のことは、親子でも立ち入りにくい
「お父さん、お金のことは大丈夫?」
父親にそれとなく持ちかけても、「まぁ、大丈夫だろう」「何とかなるよ」とそれ以上お金のことに口を出すことを嫌がった父親。
たとえ親子でも、通帳を取り上げ、娘が貯金を下ろして毎月おこずかいとして渡すというようなことは、提案しにくい雰囲気がありました。
父親のプライドを傷つけてしまうのではないかという思いもあり、「それはお父さんのお金なんだから、好きに使ってもらうしかない」という気持ちもありました。父親が認知症になるとは、ほとんど想像していなかったからです。
まだまだ認識甘かった・・・今となっては、そう感じています。
親の老いともう少ししっかりと向き合い、もう一歩踏み込んで言い合える関係性があれば、大切なお金を、両親のためにもっと有効に使えたのではないか反省しています。
目を通していただきありがとうございました。
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