還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

男は悲しいと怒るらしいー父親との関係を紡ぎ直す

すぐに怒鳴る父親

父は、私が物心つく頃から、本当によく怒鳴り、怒りを露わにする人です。

母親も私たち姉妹も、いつも父親の怒鳴り声に怯えていました。

「お父さんを怒らせないように振る舞う」そんな暗黙の了解が我が家にはありました。

もう、両親の元を離れて40年以上。

今でも、「怒りっぽい人」は、とっても苦手です。

そして私は、いつしか怒ることができない人になりました。

人に怒りをぶつけることが、どれほど人を委縮させ、傷つけるか、身を持って体験してきたからだと思います。

 

「お父さんがまた怒鳴って困っちゃう」との姉からの電話

発端は、出がけに財布がなくなったと父親が言い始めたという出来事。

しばらく周囲を探し始めたものの、財布は見つかりません。

父親が、ついに、「さっきまであったのに、どこへ持ってったんだよ!!!」と青筋を立てて、怒鳴り始めたというのです。

結局のところ、新聞の陰に隠れていて「すまんなぁ」との結末。

「ああ、また始まった・・・」

溜息をつきつつ、いつもなら「そういう人だから」とあまり気にしないようにやり過ごすのですが、今回は、違った感情が沸き上がってきました。

 

そこにあるのは、心配や情けなさ、悲しみ?

娘との楽しみにしていた外出。その出がけに財布がないことに気づいた父親

父親には、外出の予定が狂うことへの心配、娘が迎えに来ているのにウロウロしてしている自分への情けなさ、老いて次第に自分がどこか壊れていっていると認めざるを得ない悲しさ、そんなもろもろの感情が、怒りとなって爆発したのではないかと、そう思えてきたのです。

「どこへ持っていったんだよ」と他者のせいにしなければ、情けない自分を守れない、そんな気分だったのかも知れないな、姉からの電話を切った後、そうも感じていました。

 

男性は、悲しさを表現するのが苦手?

かなり乱暴な言い方だと承知していますが、少なくとも私が出会ってきた男性は、女性に比べて、悲しさや情けなさ、辛さを表現するのが苦手な方が多かったように思います。

夫も、またそうです。夫は、自分の気持ちがわかってもらえなかったり、粗末に扱われると、怒鳴ることはありませんが、不機嫌になり、怒りを表します。

女性は、涙を流し、悲しいことは悲しい、辛いことは辛いと率直に言葉で表現する方が多い、そんな印象をもっています。

 

あの時、父親は悲しかったんだと思い直して、父親を見送りたい

今でも鮮烈に残っている父親から怒鳴られた場面。

でも、もう父親も88歳。私も、還暦を迎える年齢となりました。

親子でこの世にいられる時間も限られています。

「ああ、あの時お父さんは、悲しかったんだ、切なかったんだ」と思い直して見送りたい。

やっと、苦手だった父親との関係を紡ぎ直す機会が訪れたのかも知れません。

本当に、やっと。

 

 

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